『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』

3.27 fri

もう一度、君に会いたい。

第76回ベルリン国際映画祭 正式出品作品

大人も泣ける大ヒット冒険ファンタジーシリーズ最新作

もう一度、君に会いたい

Introduction

あの大ヒットアニメーションが
スクリーンに帰ってくる!

⽇本アカデミー賞受賞、国内動員196万人の
大ヒットを記録したオリジナルアニメーション
『映画 えんとつ町のプペル』。

原作累計発⾏部数は異例の80万部を突破し、
歌舞伎、バレエ、ミュージカルなど広がり続ける
「プペルワールド」の映画最新作がついに公開!
前作同様、製作総指揮・原作・脚本を西野亮廣、
監督を廣田裕介、アニメーション制作を
STUDIO4℃が担当。

前作で遠くに⾏ってしまった大切な友達プペルに、
少年ルビッチがもう⼀度出会うまでの物語。
世界を魅了した“信じる⼼”が再び贈り出す、
感動の冒険ファンタジー。

Story

あるところに、壊れていないのに11時59分で止まっている
不思議な時計台がありました

大切な親友プペルを失い、悲しみに暮れていた
少年・ルビッチ。しかし、信じて待つことを諦め、
前に進みだそうとしていた彼はある日、時を支配する異世界“千年砦”へと迷い込んでしまう。

時を刻まなくなった時計は処分されるこの世界で
壊れてないのに、11時59分で止まっている
不思議な時計台があった。
ルビッチが元の世界に戻る唯一の方法は、
「止まってしまったこの時計台を動かす」こと―。

相棒モフと共に時計台の謎を追うルビッチは
やがて、100年間約束を信じて待ち続ける男・ガスと出会い、
人に化けた植物ナギの
叶わぬ約束の物語を知る。

ルビッチがもう一度“信じる勇気”を取り戻した
とき、ハロウィンの夜に奇跡が起こる。

Character / Cast

  • ルビッチ

    親友のプペルを失ったが、信じて待つことを諦め、前に進み始めた少年。千年砦に迷い込み再び“信じる勇気”を取り戻す旅に出る。

    永瀬ゆずな

    2015年6月13日、東京都出身。2019年、「監察医 朝顔」で主人公の娘役で俳優デビュー。主な出演作は、『ステップ』(20)、『浅田家!』(20)、初主演を務めた『あの庭の扉をあけたとき』(22)、「家庭教師のトラコ」(22)、『1秒先の彼』(23)、「グランマの憂鬱」(23)、「演じ屋 Re:act」(24)、「【推しの子】」(24)、主人公の幼少期を演じて日本中にその名を知られたNHK連続テレビ小説「あんぱん」(25)、「監察医 朝顔2025新春スペシャル」(25)など。

  • プペル

    1年前のハロウィンの夜、えんとつ町に突然現れたゴミ人間。親友になったルビッチと共に星空を見た日に消えてしまった。

    窪田正孝

    1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。2006年に俳優デビュー。2020年にNHK連続テレビ小説「エール」の主人公を演じ国民的俳優に。映画では『ある男』(22)では第46回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。主な作品に『スイート・マイホーム』(23)『愛にイナズマ』(23)、『Cloud クラウド』(24)、『悪い夏』(25)、『宝島』(25)など話題作多数。声の出演は前作の『映画 えんとつ町のプペル』(20)。

  • モフ

    人間の言葉を話す不思議な異世界ネコ。ルビッチの新たな相棒となり、異世界に迷い込んだルビッチを導き、時計の針を動かす使命を助ける。

    MEGUMI

    1981年9月25日生まれ、岡山県出身。『ひとよ』(19)と『台風家族』(19)で第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。主な出演作は、『余命十年』(22)、『愛にイナズマ』(23)、「東京タワー」(24)、『映画 おいハンサム!!』(24)、『劇場版 それでも俺は、妻としたい』(25)、『蔵のある街』(25)、『港のひかり』(25)など。公開待機作に『名無し』(26)がある。プロデューサーとしても活躍し『FUJIKO』では自身初となる長編映画の企画・プロデュースを手掛ける。

  • ナギ

    人に化けた植物の精霊。憧れの外の世界へとやって来て、身寄りのない子供たちと暮らし始める。好奇心旺盛で気が強く歌が得意。

    小芝風花

    1997年4月16日生まれ、大阪府出身。2012年、「息もできない夏」で俳優デビュー。2014年に『魔女の宅急便』で主人公を演じ第57回ブルーリボン賞新人賞、第24回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。最近の主な出演作は、『レディ加賀』(24)、「大奥」(24)、Amazon Original「私の夫と結婚して」(25)、TBS「19番目のカルテ」(25)など。春からは、NHK「あきない世傳 金と銀3」の放送を控える。声の出演では「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」(24)、吹替で『くるみ割り人形と秘密の王国』(18)など。

  • ガス

    千年砦の時計師。異世界の時間の軸となる巨大な時計台に住んでいる。100年間、いなくなってしまった愛する者の帰りを信じ待ち続けている。

    吉原光夫

    1978年9月22日生まれ、東京都出身。「レ・ミゼラブル」の主演ジャン・バルジャン役など舞台で活躍。21年のミュージカル「えんとつ町のプペル」ではプペル/ブルーノを演じ、25年版では演出を務めた。主な出演作に連続テレビ小説「エール」(20)、『ヘルドッグス』(22)、「VIVANT」(23)、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23)、『BAD LANDS』(23)、「イクサガミ」(25)、『白の花実』(25)、「ガンニバルseason1・2」(22・25)、CX「東京P.D」(26)など。声の出演では『ライオン・キング:ムファサ』(24)吹替など。

  • ホーラ

    ネズミたちを従え、千年砦を取り仕切る謎の女王ネズミ。「元の世界に戻るには、止まった時計を動かすこと」とルビッチの使命を告げる。

    土屋アンナ

    1984年3月11日生まれ、東京都出身。2004年、『下妻物語』で日本アカデミー賞新人俳優賞と助演女優賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞。主な出演作は『さくらん』(06)、『嫌われ松子の一生』(06)、『パコと魔法の絵本』(06)、『どろろ』(07)、『カムイ外伝』(09)、『GONIN サーガ』(15)、『町田くんの世界』(19)、『Diner ダイナー』(19)。声の出演では『長靴をはいたネコと9つの命』(22)、『ChaO』(25)、吹替えで『ホーンテッドマンション』(23)など。

  • コメット&ウィニー(一人二役)

    千年砦のはずれの孤島で暮らす元時計師の双子。今は便利屋で発明家。お調子者で、ルビッチたちの冒険をサポートする。

    山寺宏一

    1961年6月17日生まれ、 宮城県出身。1985年にアニメ「メガゾーン23」でデビュー。 主な出演作にアニメ「アンパンマン」チーズ、ディズニー作品のドナルド・ダックやジーニー、「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの加持リョウジ、「ルパン三世」シリーズの銭形警部、洋画ではジム・キャリーやエディ・マーフィー、ウィル・スミス、クリス・プラットなど多くの吹替を担当。直近の出演作は、実写版『リロ&スティッチ』(25)など。

  • スコップ 藤森慎吾

    おしゃべり鉱山泥棒。ルビッチを応援している。ルビッチの異世界行きに一役買う?

  • アントニオ 伊藤沙莉

    一度は決裂したが再び絆を取り戻したルビッチの友達。

  • 大耳 東野幸治

    遥か遠くの音まで聴こえる大きな耳を持つ生き物

  • 港番 渡辺隆(錦鯉)

    千年砦に入る者をチェックする、威嚇的だが実はかわいいものが大好きな港番。

  • 大ナメクジ/ドン
    長谷川雅紀(錦鯉)(一人二役)

    おしゃべり鉱山泥棒。ルビッチを応援している。ルビッチの異世界行きに一役買う?

  • マル 森久保祥太郎

    幼い頃は他の子たちと一緒にナギと暮らす。ナギとガスの大切なイヤリングを持つ。

  • ヒモサック カジサック

    ホーラの館で実務全般を行なっているネズミたちの中間管理職。

Staff

  • 製作総指揮・原作・脚本:西野亮廣

    1980年生まれ、兵庫県出身。芸人・童話作家。著書として、絵本に「Dr.インクの星空キネマ」「えんとつ町のプペル」「チックタック ~約束の時計台~」など、小説に「グッド・ コマーシャル」、ビジネス書に「革命のファンファーレ」「新世界」「ゴミ人間」「夢と金」などがあり、全作ベストセラーとなる。2020年に公開の『映画 えんとつ町のプペル』では原作・脚本・製作総指揮を務め、大ヒットを記録、海外でも高く評価される。原作・脚本・製作総指揮を務めたコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』(2024)は、米アカデミー賞®︎のショートリスト入りを果たし、世界中の映画賞を数々受賞。 ブロードウェイで、ミュージカル『CHIMNEY TOWN』の制作を進める他、2025年にデンゼル・ワシントン主演の舞台「OTHELLO(オセロ)」の共同プロデューサーを務め、同作はブロードウェイ3週連続1位に輝く。2025年夏には製作費4.5億円のミュージカル「えんとつ町のプペル」を上演し、開幕前に3万席を完売させた。

  • 監督:廣田裕介

    2001年にSTUDIO4℃に入社。石井克人監督のTVアニメ「ピロッポ」(01)でCGI監督としてデビュー。CGI監督として『アニマトリックス - BEYOND』(03)、『Genius Party - BABY BLUE』(07)、『Genius Party Beyond - MOONDRIVE』(08)、『ベルセルク黄金時代篇3部作』(12~13)などを手掛け、『ハーモニー』(15)では演出も兼任。『映画 えんとつ町のプペル』(20)で長編監督デビュー。その後、『ChaO』(25)ではCGI監修を務める。

  • アニメーション制作:STUDIO4℃

    ハイクオリティな映像表現で世界から高い評価を得ているアニメーション制作会社。創立者であり代表の田中栄子プロデューサーを中心に、作品の個性を重視し、映像表現の可能性を常に模索して多彩な作品を世に送り出して来た。大友克洋製作総指揮『MEMORIES』(95)、片渕須直監督『アリーテ姫』(01)、『アニマトリックス』(03)、湯浅政明監督『マインド・ゲーム』(04)では文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞を獲得。『鉄コン筋クリート』(06)では日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞。以降、『Genius Party』(07)、『ベルセルク黄金時代篇3部作』(12)、『ハーモニー』(15)、『ムタフカズ』(18)などの映画を制作し、常にアニメーション界を驚かせている。近年では『海獣の子供』(19)が米国アカデミー賞®︎長編アニメ映画部門にエントリー、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞。さらに、2025年の『ChaO』ではアヌシー国際アニメーション映画祭審査員賞に輝く。社名の4℃は、<水の密度が一番高い温度>であることから、クオリティの高さの保証を意図して名づけられた。

  • 主題歌:「えんとつ町のプペル」ロザリーナ

    『映画 えんとつ町のプペル』(20)のテーマソングを担当して人気を博す。2020年に1st Album「INNER UNIVERSE」をリリース。収録曲「何になりたくて、」が 10代の学生を中心にSNSで広がり、YouTubeでの再生回数は800万回を突破。「unknown」(23)、『帰ってきた あぶない刑事』(24)の挿入歌、「ナイルパーチの女子会」(21)、『映画 おでかけ子ザメ とかいのおともだち』(25)の主題歌を担当し、「看守の流儀」(25)では出演を果たし、今後の活動にも注目の集まるシンガーソングライター。

  • 原案:『チックタック 〜約束の時計台〜』(幻冬舎)

    「人生の11時台というのは誰にでもある。鐘が鳴る前は報われない時間というものもある。それでもきっと大丈夫! 時計の針は必ず重なるときがくるから」というメッセージが『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』には込められている。このストーリーの下地となった絵本がこちら。「こわれていないのに11時59分で止まっているふしぎな時計台がありました―。」から始まる。本書発売時に「にしのあきひろ作品史上、もっとも残酷で、もっとも美しい物語。」という帯コピーがついていたが、いまだにこのコピーにふさわしい傑作。

Production Note

  • コロナ禍でヒットなぜ?前作『映画 えんとつ町のプペル』が秘めたもの
  • 続編にして“シリーズ第2弾”は、「信じて待ち続ける」西野の体験
  • 新たな舞台〈千年砦〉の設計とデザイン
  • 千年砦に暮らす一度見たら忘れられないキャラクターたち
  • 3DCGの技術を使った2Dのリミテッドアニメーション
  • 手描きとCGの使い分けによる深く豊かな背景美術
  • ルビッチ役の新たなヴォイスキャストと豪華共演者たち
  • 登場人物たちの心情を奏でる音楽
  • 家族皆で楽しめるアドベンチャー・エンターテインメント
  • コロナ禍でヒットなぜ?前作『映画 えんとつ町のプペル』が秘めたもの

    『映画 えんとつ町のプペル』は、コロナ禍真っ只中の2020年12月25日に公開され、196万人の観客を動員する大ヒットとなった。製作総指揮・原作・脚本を手掛けた西野亮廣は、「コロナ禍で心が折れた人たちに、『自分を信じて頑張ろう』という物語を真正面から伝えたことが、エールとして届いたのだと思います」と語り、廣田裕介監督も、「“解放”の物語でもあったので、観る人の心により一層響いて、大きなカタルシスとなったのではないでしょうか」と振り返る。

    その後、歌舞伎やバレエ、ミュージカルなど多様なメディア展開を成し遂げたのは、「星のない世界で星を見るまでの物語」と、内容を一言で伝えられたことが大きかったと西野は言う。作品観賞を子供たちへの贈り物と考える人たちに、結末を明かすことで安心と信頼を訴求することができたからだ。また、サプライズや意外なラストに頼らないことによって、リピーターが増えるという効果もあった。

  • 続編にして“シリーズ第2弾”は、「信じて待ち続ける」西野の体験

    第1作の大ヒットを受けて、続編の話はすぐに持ち上がった。STUDIO4℃の田中栄子プロデューサーは、続編はもちろんシリーズ化を構想していたので、タイトルを担う存在でもあるプペルが、まずは戻ってくる必要があると考えていた。福山亮一プロデューサーも、「エバーグリーンとなるシリーズにしたいと思いました」と語る。
    西野はさっそく脚本開発に取り組んだが、なかなか納得いくものができなかった。一度書き上げた脚本を捨て、新たに取り組んだのは、2019年に出版した絵本「チックタック 〜約束の時計台〜」のベースにもなった、自身の20代前半の体験をもとにした物語だ。それは、“帰ってこなくなった友人を、ただただ待ち続けた日々”。お笑いコンビ「キングコング」の相方である梶原雄太が、デビュー後すぐに超売れっ子になってしまったプレッシャーで失踪してしまった時のことだ。事務所からは西野一人で活動を再開することを提案されたが、西野は「万が一うまくいったら梶原君が帰ってくる場所が無くなると思い、“待つ”と決めました。でも、もう戻ってこないかもしれない、なんなら戻ってこない確率の方が高いような人を待つことは、自分の人生を振り返っても、 非常に勇気と覚悟のいる決断でした」と説明する。「待ち続けるためには、とにかく相手を信じるしかなかったのですが、その重みに心の針が大きく振れました。第1作目は“自分を信じる”ことがテーマでしたが、それよりも難しくかつ尊いことが“誰かを信じる”ことだと思い、今回はそれを物語にしました」
    廣田監督は、「いなくなったプペルという存在が、ルビッチにとってどれほど大切だったか、次の物語へ進むためには前作へのアンサーとして、それをもう一度しっかり描く必要があるという結論に至りました」と補足し、また福山プロデューサーは、「今この時代にも、信念を持って誰かを待ち続けている人はいるはずです。そこに、皆が見過ごしている気づきがあるのではないかと思いました」と語る。

  • 新たな舞台〈千年砦〉の設計とデザイン

    前作に続き佐藤央一が設定開発を手掛け、脚本開発の早い段階からチームに参加し、ストーリーをデザインしていった。廣田監督は、「最初に超巨大な時計台のスケッチを見た時は感動しました。そこを始点として、本作のメインステージとなる千年砦という異世界がどんどん作られていきました」と語る。後半の重要な舞台となる千年砦の森も、「佐藤さんが描き起こした一枚の世界観からさらに発想が広がり、物語を再設計しました」と西野が振り返る。「深い森」を、千年砦の“奥”ではなく“縦”に深い森として位置させ、魅惑的な世界を実現したのは、その森の周辺を美術設定開発した美術監督の西田稔や、森の中心のナギの木をデザインしたキャラクターデザインの福島敦子ら前作から引き続き制作に携わったスタッフによる連携プレーだ。酉の市やホーラの館、ヤドカリホテル、辰巳通り、CW研究所と、どんどん新しい舞台が生まれた。
    結果、ルビッチがどうやってこの星の中心部に潜り、どう帰ってくるのかというドラマティックな映像が生まれたのだ。

  • 千年砦に暮らす一度見たら忘れられないキャラクターたち

    廣田監督は、「私たちスタッフも西野さんも福島さんもヘンテコな造形が大好きなので、千年砦は思いきりそちらに振り切って、人間はルビッチだけで、それ以外はすべてバケモノしかいない世界にすることになりました。とはいえ、ドラマの中心となるメインキャラクターは、しっかりと感情移入しやすいデザインであることも大事にしたいという非常に難しい注文をしたのですが、見事に素晴らしい魅力あふれるキャラクターを作り上げていただきました」と語る。
    田中プロデューサーは、「怖いけれどかわいい、変だけれどチャーミング、突飛だけれどコケティッシュという絶妙なバランスを追求しました」と振り返る。「恐怖より愛着を持てる異世界にしたかったのです」

  • 3DCGの技術を使った2Dのリミテッドアニメーション

    続編を作るにあたって廣田監督は、「どのように前作を越えていくのか、ずっと考えていました。STUDIO4℃の3DCGは、作画のアニメーションとの親和性を得意としています。それを前作よりもさらに推し進めて、アニメーションという表現がこんなにも楽しいということを追求すれば、作品の魅力も完成度も自ずとあとからついてくるだろうと考えました」と振り返る。田中プロデューサーは、「ほとんどのキャラクターを新たに開発する必要があったので、基本的には前作を踏襲しつつも、思い切って作り方を見直すという方針で臨みました」と言う。新規のキャラクターは100体を超え、“リグ”というCGモデルの骨格やそれを動かす仕組みを大きく作り替えた。新たなリグの開発の中心となったアニメーションディレクターの佐野雄太は、「動物のような顔や、軟体動物のような骨格のキャラクターを動かすのはとても大変で、これは前作よりも間違いなく難易度が高かったと言えます」と振り返る。二足と四足で切り替わるという特殊な仕様が必要だったモフなど、より柔軟性の高いCGキャラクターを開発できたのは、『塔の上のラプンツェル』で主人公の髪の毛のリグ開発などを監修した四角英孝の全面的な協力によるものだ。それにより、現実にはできないデフォルメ表現の自由度がさらに広がると同時に、より柔軟で精細な芝居と表情を作ることができた。

  • 手描きとCGの使い分けによる深く豊かな背景美術

    千年砦のデザインの全体のテーマについて、西田稔美術監督は「工業的なえんとつ町とは対照的に、自由で、曲線を多用したデザインにして行きたいと話しました。曲線といっても柔らかい優しい線ではなく、カクっと折れ曲がったようなアウトラインを多用した複雑な線です。千年砦はルビッチにとって未知の世界なので、安心感のある温和な世界にならないように工夫をしています」と語る。有機的な世界観をイメージしていたため、手描きでの背景を基本とする方針をとった。一方で、3Dアニメーションならではのダイナミックなカメラワークのあるシーンや、高密度な空間描写が必要なシーンでは3DBG監督初挑戦となった朴知恵を筆頭に、3DCGで背景が作成された。結果的には2Dと3Dのシーンが50:50くらいの割合になり、手描きとCGの効果的な使い分けによって、千年砦の世界観がより深く立体感のある豊かなものになった。
    また、今作ではシーンごとの“色分け”にも注目したい。色彩設計の江上柚布子を中心に、ふたつの時間軸と空間ごとにテーマカラーを設定し視覚的に分類した。千年砦の100年前のガスとナギの背景はテーマカラーをピンクとブルーで、現在のルビッチとモフの時代はグリーンと赤がテーマカラーとなっている。さらに、えんとつ町と千年砦では“空”の表現方法を変えている。煙の無い『えんとつ町』は色彩も水彩画風に光の反射が強く描かれ、秋晴れの青空に雲が印象的に映るのに対して、千年砦の空には雲はなく、各テーマカラーに染まった質感のあるグラデーションになっている。

  • ルビッチ役の新たなヴォイスキャストと豪華共演者たち

    西野はルビッチ役の新たなヴォイスキャストを子役にしたいと考えた。その理由を、「子供の時にしかない問答無用の強さや引力のようなものがほしいと思いました」と語る。大々的にオーディションが行われた結果、「永瀬ゆずなさんが、飛びぬけていました。皆の頭の中にあるルビッチの声だったので、満場一致で決定しました」と西野。廣田監督は永瀬を、「年齢からは想像できないくらい素晴らしい芝居ができる役者さんでした。一方で子供にしか思いつかない、大人にはとうてい発想できない言い回しをしてくれることもあり、その二つの才能に感心しました」と絶賛する。アフレコでは、西野からのユーモアあふれる声色の演出にも生き生きと対応したという。
    新たなヴォイスキャストでは、ルビッチの相棒となるモフ役も重要だった。西野からモフ役はツッコミのできる人にしたいという強い要望があり、彼の推薦でMEGUMIに決まった。モフは台本には無いアドリブのシーンが多かったのだが、MEGUMIは西野とは旧知の仲ということもあり、彼の意図を完璧に受け取り、常に廣田監督の想像を越えてきたという。
    さらに、主なキャストについて、廣田監督はこう語る。「ガス役の吉原光夫さんからは台詞を台本と少し変えるアイデアを多くいただき、臨場感がさらに高められました。ナギ役の小芝風花さんはお芝居の引き出しがとても多くて感服しました。物語の中で素敵な歌声も聞かせてくださいます。ホーラ役の土屋アンナさんには、どっしりとした重みを持つ台詞を完璧に演じていただきました。コメット&ウィニー役の山寺宏一さんは、一人二役でかけ合うというものすごいことを当たり前のようにやられていて。プペル役の窪田正孝さんの第一声を聞いた時は、思わず『プペルが帰ってきたー!』と皆で盛り上がりました」

  • 登場人物たちの心情を奏でる音楽

    今回から初参加となったのが、前作の大ファンだという音楽の富貴晴美。西野から脚本に込めた熱い想いを聞いた後、まずはルビッチとプペルのテーマ曲にとりかかった。冒頭の時計の針のエピソードが語られるシーンと、後半のルビッチが森へ行き帰りするシーンに流れる曲だ。富貴は「愛と信頼を胸に大切な人を待ち続ける物語ですが、その愛が溢れた時の『早く会いたい、そばに行きたい』という想いを込めて作りました」と語る。
    そして、ガスとナギのクライマックスとなるシーンに、富貴は二人のテーマを書きたいと自ら提案した。すると、西野から「大切なシーンだから名曲でなければならない」と宣告されたという。「『名曲を書いてください』というオファーは人生で初めてでした。ひたすらピアノを弾きながら、ガスとナギの台詞を何度も読み上げるうちに生まれたのが今の曲です」と富貴。その旋律に自分自身の心が震えるかどうかを問いかけながら、全力で書き上げた曲だ。
    さらに、西野、廣田監督、音響デザインの笠松広司とディスカッションを重ねながら、多彩な劇伴を構築していった。たとえば、ルビッチとネズミの追いかけっこのシーンは、一人と一匹の動きに音をコマ単位で合わせて作っている。またモフのテーマは、見た目はかわいいのに性格はパンチのきいたモフを表現するために、監督から「怖いメロディ」をリクエストされた。レコーディングでは50人弱のオーケストラに、エレキギターやドラムなども加えて、唯一無二の演奏を実現した。
    ロザリーナが歌う前作からの主題歌「えんとつ町のプペル」をどこでかけるかは、西野と廣田監督が映像との融合をとことん突き詰めて、歌と物語が一つになる感涙のタイミングを見つけ出した。

  • 家族皆で楽しめるアドベンチャー・エンターテインメント

    廣田監督は、「本作を通じて、人を想う優しさと強さ、そして大切にするべき素直な心を描きたいと思いました。どれほど技術が進歩しても失われてはいけないもの、忘れてはいけないものがあります。それを、アニメーションという形で伝えたいという想いで、この映画を作りました。たくさんの新たなキャラクターたち、色とりどりの世界、壮大なドラマ、ハラハラドキドキ、あげればキリがありませんが、どれもが前作からさらにスケールアップしています。何よりルビッチとプペルの物語はまだ終わっていません。その続きを見届けに来てください」と語る。
    最後に西野が、こう締めくくる。「変化球一切なしの冒険活劇を真正面から作りました。最近あまり見かけなくなった、正統派ファミリーエンターテインメントが完成しましたので、楽しみにしていてください」

Message

この物語の根底にあるのは、僕自身が20代前半に体験した、
“遠くへ行ってしまい、もう帰ってこなくなった友人を、
ただただ待ち続けた日々”です。
スピード出世だった僕たちキングコングは、
色んなところに出させてはもらうが、
実力が追いつかず結果を出せずにいました。
そんな日々が続いていくとついに梶原さん
精神的にやられて飛んでしまいました。
全ての仕事がそこでなくなり、
週刊誌対策で僕も部屋に缶詰めで待っていました。

そんな中「ソロで行くか?」という事務所の提案に、
心が揺れました。
確かに腹は立っていましたが、
二人で漫才している時や遊んでる時、
それは非常に楽しい時間でした。
もし万が一、僕がピンでうまくいってしまったら、
梶原さんが戻ってくる場所がなくなっちゃう、
楽しい時間が全て消えてしまうのは嫌だと思い、
「待つ」と決めました。
これが自分の人生の中では一番覚悟を要した決断だったと、
今でも思います。

自分が動く時は、自分がやればいいわけですが、
相手を待つということは、
戻ってこない可能性が高いわけで、
その人を信じて待つということは
非常に勇気のいる決断だと思います。
そういうところを物語にさせてもらいました。

これは、信じることをやめてしまった少年が、
もう一度「信じて待つ」という選択に向き合う話です。
止まった時間は、果たして再び動き出すのか。
それは特別な誰かの物語ではなく、
立ち止まりながらも、
踏みとどまっているすべての人の物語です。

製作総指揮・原作・脚本 西野亮廣(キングコング)